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1. 線形動的解析

1.1 線形動的解析について

現行のクレーンの耐震設計は、脚は浮き上がらない(ロッキングしない)ことを前提として、震度法または条件が把握できる場合は修正震度法を用いて静的設計が行われている。後者の修正震度法では、加速度応答倍率を求めるに当たってクレーンの固有周期が重要なパラメータとなる。このクレーンの固有周期は、全脚がレールに接した条件での値を用いることになっているが、この条件下で応答倍率を算定すると、場合によってはクレーンの転倒モーメントを上回る水平震度が得られることがある。
本章ではこうした地震時のクレーンの挙動を確認するため、先ず現行設計に従い脚が浮き上がらないとした条件(脚が浮き上がるとその時点で全脚がレールに接した条件で求めた固有周期は意味をもたなくなるため、脚が浮き上がらないとして固有周期が変わらないとした条件)で、地震波を脚基部に直接入力する動的地震応答解析を行う。

1.2 解析モデル

クレーンの固有周期に着目して動的挙動を検討するため、横行方向の固有周期がほぼ1秒と3秒のクレーンを選定した。なお固有周期1秒のクレーンは、アンローダでり、3秒クレーンはコンテナクレーンである。また各クレーンは作業時と休止時(休業時)とで吊り荷の状態やブームの位置が異なるため、作業時と休止時の2状態を対象とし、構造に忠実に立体骨組みにモデル化した。
なお1秒クレーンは、陸側の脚が揺脚(脚とポータル梁の取り合い部下部がヒンジ構造)であり、3秒クレーンは海側の脚が揺脚である。
表1.1に対象クレーンの主要諸元を示す。図1.1(1)、図1.1(2)に対象としたクレーンの解析モデルを示すが、構造に忠実に立体骨組みにモデル化した。
なお図中には固有振動解析の結果得られた固有周期も併せて示すが、1秒クレーンについては休業時の走行方向をもって代表周期(ほぼ1秒)としている。

 

 

 

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